『泥かぶら』の感動
  

 「泥かぶら」は、美しい作品である。こんなに人の心をやさしいものにし、どういう人間にも生きる喜

 びがあるということを 、しみじみ思わせてくれる名作は、あるまい。

 眞山美保さんは、戦後の荒廃した日本が、泥にまみれ、屈辱に顏をゆがめている時に、これを書いた。

 泥かぶらは、当時の日本だったと、いえなくもない。

 しかし、いまの時点でも、いやむしろ現代においてこそ「泥かうら」は一層観客の気持ちに、切実に、

  訴えるともいえる。 醜く、すさんだ生活をしている少女が、いじめられる。西洋にもそんな事がある

 かも知れないが、かなしいけれど、日本の子供には、弱いもの、欠点のあるもの、動物などをいたわる

 性質がとぼしいような 気がするのだ。教育の至らなさでもある。

 社会問題になっている学校での「いじめ」の実状を思い、昔の泥かぶらが、どんなにつらい日々を送 迎

 したかと考えると、涙が出て来る。

  しかし、この芝居で、みにくくても、その顔を恥じず、いつでも二ッコリ笑い、人のために尽くそうと

  すれば、その人間は、かならず美しくなるということを、教えられる。ぼくは客席にいて、久しぶりに、

 声をあげて泣きたいほどの感動を受けた。こういうドラマを、全国 の人々に見せるなら、どんないい教

 訓になるだろう。

 演劇は、いわゆるお説教という形でなく、作品 と演技者とが舞台から、直接大切な、生涯忘れがたい、

 すばらしい真理を、与えてくれるものである。 「泥かぶら」は、そういう意味において、みんなに吹聴

 したい公演である。
                                       
      


                                  戸板康ニ (作家・評論家 )

 

時代が呼び寄せた力

 秋の花のうつくしいお葉書をありがとうございました。

 九月の名古屋公演の成功を先ずもってお祝い申し上げます。この成功は、なんといっても「泥かぶら」班

 の皆さんの奮闘努力 の賜だと思います。舞台が終わって帰り道に僕は考えました。「泥かぶら」を呼び

 寄せたほんとの力は、今の時代そのものではないかということでした。

 眞山美保さんの思想とそれを演ずる座員の皆さんが、一体となって制作した芸術の力が日本人の魂を動か

 しているのです。

 国際貢献などというまやかしでない、真の人類愛に目覚めさせる役割を、皆さんが担っているのだという

 ことを、僕は信じてます。

 一緒に舞台を観た家族と友人の感想は、異句同音「自分の生き方を見直してみたい」でした。

 偉大な哲学や真理は日々の単純な行為の中にあるということを、眼前に突き付けられたのが、新鮮な感

 動を呼んだのだと僕は思います。

 友人の方から頂いた僕あての手紙と葉書の写しを同封します。手紙は、豊田市で書道塾を開いている鈴

 木郁子さん。葉書は大学教師で八十歳の永井幹夫さんです。「過労死」問題で、全国を奔り廻っている

 庄司悠一さんという活動家の方からも、電話で感動のメッセ−ジを頂いています。

 このように「新制作座」の新しい仲間が愛知県にできたことも、今度の公演の成功のうちに数えてもよか
 いのではないかと思います。

 眞山さんには、日本人があやまちを繰り返さないために、国民演劇の母になって頂きたく、いつまでも

 お元気で、お仕事を続けられますように、お祈りいたします。

 劇団の皆さん方には、今後一層のご活躍を御期待申し上げます。

 実りの季節にかなったいまを大事にお過ごしください。

                                     酒井 博 (春日井市)


 


拝啓『泥かぶら』様

 「泥かぶらー。やーいやーい、泥かぶらー。」とみんなに言われ続けて、心が弱くなっているあなたを

 救ってくれたのは、旅のお爺さんでしたね。

 一、自分の顔を恥じない事

 二、いつもにっこり笑顔でいる事

 三、人の身になって物事を考える事。

 村一番の美人になれると言うこの三つの事を。最初は、「おじさんは、うそつきだ。」なんて思ってた

 んでしょう。でもおじいさんがいなかったら、こずえさんとも仲良くなれないし、人買いおじいさんも、

 悪い人のままだったと、思うよ。

 私が心に残ったのは、こずえさんがわってしまったお茶わんを、自分のせいにしてがまんしたことや、

 あぶない岩にのぼって草を取ってきてあげたことだよ。

 ねえ泥かぶら、今までにいろいろな人に教えてもらった事さえ守っていればほとけの様に美しい村一番、

 いいえ世界一の人間になれるんだよ。

 人は、外見ではわからない。

 相手のたちばに自分をおいてみる。

 そしたら、人の悪口なんて言えないよね。

 泥かぶら、あなたは気づいてないかもしれないけど、こずえさんを優しい心にかえたのは、泥かぶらな

 んだよ。

 私も泥かぶらの三つの事を守って強い心でいるからね。勉強も、とても大切だけど人間は、一番大切な

 「強い心」をわす れることが多いよね。

 これ、約束しようね。

 さあ、泥かぶら言ってみてよ。

 「おじさん大好き。」

 「友達大好き」

 「みんな大好き」

                          海星女子学院小学校四年 柳本 優美子


 

群馬県の小学校生から寄せられた『泥かぶら』の絵を紹介します